身体拘束~専門職として知っておきたい視点~

身体拘束の排除に関する研修
目的身体拘束の定義、身体拘束防止や万が一起きた場合の改善に必要な考え方を学びます。
効果職員全員が同じ知識を習得することで、日常での気付きの精度や改善の推進力の向上が期待できます。
概要身体拘束の基礎知識として定義を確認することから始めます。講師の実体験を通して、日頃の関わりを振り返る視点を学びます。そのうえで、事例を通して、身体拘束の弊害や改善の方向を具体的に学ぶ構成です。

研修内容冒頭まとめ

第1章:身体拘束の基本的な知識

【導入エピソード】

ある認知症の利用者さんが経管栄養のチューブを引き抜きそうになるため、ミトン(分厚い手袋)を装着されていました。
夜勤中、その方は器用に紐をほどき、服やオムツを脱いでしまい、ベッドが濡れてしまう状況が何度も発生しました。
「危ないから」と付きっきりで手を押さえ続けましたが、次第にその方の表情が変わり、吐いてしまうこともありました。
後から考えると、言葉にできない強いストレスが身体症状となって表れた可能性が高いと気づきました。

 この経験から「身体拘束は本人にとって大きなストレスになる」という学びを得ました。


【身体拘束を学ぶ意味】

  • 身体拘束は虐待につながるリスクがある

  • 「安全のため」と思っても、本人に大きな負担や苦痛を与えることがある

  • 介護現場では「きれいごと」では片付けられない難しい場面が多い

  • だからこそ、知識を持ち、どうすれば拘束を減らせるか考える視点が必要


【身体拘束に向き合うためのチェックリスト】

  • なぜ身体拘束が必要と思ったのか、理由を言語化できるか?

  • 本人にどんなストレスがかかっているか想像できているか?

  •  代替方法(環境調整・声かけ・見守りの工夫など)を検討したか?

  • チームで情報共有し、独りで抱え込んでいないか?

  • 「もし自分が同じ状況だったら」と利用者の立場で考えたか?


第2章:身体拘束の具体例と改善のヒント

【よくある身体拘束の例】

  • ミトン(分厚い手袋)で手を固定する

  • ベッドに体をベルトやひもで縛りつける

  • 車いすに座らせたままテーブルを固定して立ち上がれなくする

  • ベッド柵を上げて降りられなくする

  • 服やオムツを脱がないように抑える

👉 多くの場合、「転んでしまうから」「点滴やチューブを抜いてしまうから」といった“安全のため”に行われています。
しかし、その背景には 認知症の症状による理解の難しさ が関係していることが多いです。


【改善のための考え方】

  • まず「なぜその行動をするのか?」を考える
     例:歩き出す → トイレに行きたい、物を取りたい、体を動かしたい

  • 「やめさせる」ではなく、「どうすればできるか」を一緒に考える
     例:歩きたい → 転ばないように歩行補助具やリハビリで支える

  • 環境を整えて「危険を減らす」
     例:トイレの位置を分かりやすくする、照明を工夫する

  • チームで共有し、1人で抱え込まない

  • 失敗も共有し、改善につなげる


【チェックリスト】

  • 「拘束しないと危ない」と考えた理由を説明できるか?

  •  利用者さんが本当にやりたいことに目を向けたか?

  • 代わりの方法(声かけ・環境調整・リハビリ等)を試したか?

  •  チームで話し合い、工夫を共有できているか?

  •  自分の対応を振り返り、改善点を考えられているか?


 身体拘束は「ゼロにできる方法」を探すよりも、日々の小さな工夫とチームの知恵の積み重ねが大切です。

失敗も大切な学び。みんなで考えながら、利用者さんが「その人らしく」暮らせるケアを目指しましょう。

研修内容詳細

種別概要
動画第1章 身体拘束の基本的知識
動画第2章 身体拘束の具体例と改善例

上記は、あくまでご参考のプログラムです。 法人のご要望や受講者数・研修時間によってプログラムを変更する場合があります。 詳しくはお問い合わせ下さい。

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