外国人採用時の受け入れの基礎知識 定着・長期勤務につながる職場の環境づくりとは

「介護分野の外国人採用制度の概要と現状」のコラムでは、外国人介護士の受け入れにあたり知っておきたい制度の概要や注意点などについてご説明しました。
今回は、実際に受け入れる際の流れや、より細かな注意点、受け入れた後の定着・長期勤務につながる職場の環境作りや支援などについて、外国人の雇用関連に詳しい豊田友芳さんにご執筆いただきました。
- 外国人介護士受け入れの重要性
- 外国人介護士の雇用時の注意点と課題
- 外国人介護士受け入れの流れ
- 着手から面接・内定までの採用活動
- 内定からビザ取得まで
- 受け入れ準備と配属【入国前】
- 受け入れ準備と配属【入国後】
- 外国人採用に見込まれる費用
- 外国人介護士の支援と育成
- コミュニケーションと日本語教育の重要性
- 外国人介護士のキャリアアップルート
- まとめ
外国人介護士受け入れの重要性
外国人介護士は人材がなかなか採用できない地域の施設にとっては、欠かせない人材となっています。2025年12月末時点の出入国在留管理庁の報告によると、特定技能介護の在留数は6万7,871人で直近6か月間での増加数は1万2,955人、月間平均で約2,159人が在留資格を取得し、国内のどこかの介護施設で勤務しています。これは毎日70人程度の外国人が国内の介護施設等で働き始めているということです。特定技能の中でもっとも受け入れが進んでいる分野のひとつといえるでしょう。
■特定産業分野別在留外国人数

※赤色の部分は、3年以内に特定技能の上限数に到達する可能性がある産業分野
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」
外国人介護士の雇用時の注意点と課題
外国人介護士を雇用する際の注意点は、多岐にわたります。まずは人材を「採用」する前の注意点を2つあげます。
1.面接について
外国人を採用する場合、ほとんどが遠隔地からの応募です。国内であれば県外、それ以外では国外となります。よって、採用時の面接は今までのような「対面」での面接ではなく、Zoomなどを利用したリモート面接が主流です。インターネット環境さえあれば、どんな遠方でも都合のいい時間に面接することができ、応募者の緊張感が和らぐことで、通常時の人間性を確認することができます。
その一方で、音声や映像の遅延・フリーズなどの通信トラブルのほか、自己紹介などのメモ書きを見ながらの会話や、日本語の分かる友人などが近くで助言や通訳するなど、デメリットがあります。予算や日程の問題がクリアになるなら、現地での対面面接や、国内採用の場合でも出張面接を行い対面での面接をおすすめします。
2.雇用条件について
外国人にとっての仕事選びは、単なる業務内容と給料だけではありません。そのほか、「住居費や水道光熱費などのライフライン」「通勤距離や通勤方法」「入社後の支援や教育体制」など、生活面も就職先を選ぶ重要な項目です。雇用条件には、このような項目も明確にしておくといいでしょう。
多様性のある職場環境のメリット・デメリット
2010年頃から多様性「ダイバーシティ」という考え方が広まり、これからの少子高齢化時代の企業経営として多様性経営が強く求められるようになりました。経済産業省では、ダイバーシティ経営を「性別、年齢、国籍、障がいの有無、価値観、雇用形態、働き方などが異なる多様な人材が能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。つまりダイバーシティ経営・多様性とは、今までとは異なる人材の受け入れを行うことです。組織が活性化し、自由な発想が生まれ、生産性やサービスの向上などにより、自社の競争力強化につながる、といったメリットを享受することです。単なる人手不足の代替策ではなく、その優位性を最大限事業の運営に生かしていくことが、外国人介護士受け入れの最大のメリットと言えるでしょう。
ただし、安易な考えで多様性を受け入れると、「組織の混乱」「業務負担やトラブルの発生頻度の増加」「社員教育が追いつかない」などのデメリットも発生させてしまいます。受け入れには事前に入念な計画を立て、想定されるリスクは事前にできるだけ減らしておくことが大切です。
外国人介護士受け入れの流れ
採用時の注意点と手続き
外国人介護士を受け入れるには在留資格によって細かな制約があり、仲介する業者が変わってきます。一番大切なことは、外国人介護士が入社した後に、彼らが仕事に専念できるような環境づくりです。登録支援機関など間に立つ業者を選定後に、密な打合せ・情報交換を行い、業務分担し受け入れ準備をしていきましょう。
外国人介護士の採用手続きの具体的な流れ
主に3つに分かれます。
①着手から面接・内定までの採用活動
➁内定からビザ取得までの出入国在留管理庁等(入管庁)の対応
③受け入れ準備と配属
着手から面接・内定までの採用活動
1.導入前の社内調整
受け入れを検討する在留資格(特定技能)の概要を把握したうえで、人材を受け入れるのか社内で検討し、最終判断(決裁)します。同時に、入所者(ご家族)への事前説明・通知を行います。受け入れ人数や、時期、国籍などおおまかなイメージを持っておきましょう。
例)3名、来年の〇月頃にインドネシア・ミャンマー・ネパールなどから検討など
2.中間(介在)業者の選定
介在する登録支援機関の選定を行います。どのような業者がいいかわからない状態で選定するのは難しく感じると思います。入管庁のWEBサイトから最新の登録支援機関リストを入手し、自社の住所に近い所から探してみましょう。大小の規模の中から3~5社を選び、コンペ形式で提案を受けることをおすすめします。
■比較したいポイント
☑サービス内容
☑突発対応(現地駆けつけ)
☑価格
☑営業担当の人柄、知識、リアクションの速さなど
☑顧客第一の姿勢
3.募集・面接・内定
■雇用条件の策定
雇用条件は同じ業務を行う日本人従業員と同等以上、労働基準法遵守です。
住居費・水道光熱費・インターネット費など本人負担あり、なしなど負担額を決定。最終的に手取りがいくらになるのかまで詳細に計算し、提示します。
住居については、ファミリータイプで複数人で居住、もしくは1Rでプライバシー重視かを確認するほか、家具家電品の準備などを検討(何をどのように準備するか)します。ただ、住居条件をなるべく統一しないと、あとあと苦情や退職を招く原因になるので注意が必要です。
※フィリピンなど送り出しする国によっては、賃金の条件が決まっている場合があります。事前に登録支援機関に確認しておきましょう。
■面接の実施・採用判断
登録支援機関が現地送り出し機関と連携し、応募者の募集をします。面接は現地の場合、採用予定数の3倍程度集めるのが一般的で、そこから面接で必要人数に絞り込んでいきます。面接は通訳を同席させ、日本語で答えることができなくても、母国語でしっかりと応募者の考えを聞くことが大切です。そのほか、適性検査や健康診断、体力測定などを合わせて行うことで、よりマッチングミスを防ぐことができるでしょう。
■内定通知と入社の意思確認
内定者には面接後に、「内定通知」を渡しましょう。日本では中途採用など口頭での通知が多い印象ですが、海外の場合は書類を重んじる傾向があるので、正式な採用であることを書面で伝えることは、辞退を防ぐという意味でも有効です。書面で提示した後に、送り出し機関に本人の意思確認をしてもらいましょう。なかには内定式をWEBで実施する企業もあります。
また、家族の反対による辞退や、面接を複数受けていることによる辞退、健康診断による辞退などを想定して、補欠合格を出しておくことも有効な手段です。補欠合格を出す場合は後でトラブルにならないように、補欠である旨を本人にきちんと説明することが必要です。
内定からビザ取得まで
1.協議会への加入
特定技能を受け入れる場合、すべての産業分野(2026年4月の執筆時点で16分野)で協議会に加入しなければなりません。協議会への加入は初回申請時、在留資格認定証明書交付申請を提出する前と、後の場合があります。介護は「前」に加入しておく必要があります。協議会の加入審査には数か月かかる場合があるので、受け入れが決定した段階で先行して加入申請しておくといいでしょう。面接を行う前でも協議会への加入申請に問題はありません。
協議会の役割は、特定技能外国人の受け入れを行う企業で定期的に情報交換や、制度の見直し・発展、制度変更の情報共有などを行い、この特定技能制度がよりよいものとなるよう各社で協力するものです。加入に費用はかからず協議会から定期的な会合の実施や定例会の報告などがあります。
2.事前ガイダンスの実施
まず、本人のサインが必要な書類を準備し、その後「事前ガイダンス」を実施します。事前ガイダンスとは、特定技能外国人に対して行わなければならない「義務的支援」のひとつです。特定技能1号の外国人が日本で就労・生活するにあたっての注意点を説明するものです。
具体的には雇用契約書締結後、在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、「労働条件」「活動内容」「入国手続き」「保証金徴収の有無」などについて、対面もしくはZOOMなどのオンラインツールで実施します。事前ガイダンスは通常3時間以上、同一企業で技能実習生からの継続雇用の場合でも1時間以上行い、特定技能外国人が余すところなく理解できる言語で実施しなければなりません。通常、登録支援機関に委託するケースが多いですが、業者に任せきりにするのではなく、受け入れる企業としても関係者としてガイダンスに同席するほうがよいでしょう。
3.在留資格取得手続き
管轄する地域の入管庁へ在留資格取得のため、必要な書類を準備し提出します。書類の準備は選定した登録支援機関から助言をもらったり、地域の行政書士に業務委託したりするなどの方法があります。本来は自社で作成するもののため、勉強しながら自社単独で作成することも可能です。
準備する書類は入管庁のWEBサイトに一覧表があります。これを確認の上、必要な書類を準備します。
出入国在留管理庁WEBサイト
■必要書類は3種類
【Ⅰ.申請人に関する書類(特定技能内定者本人)】
【Ⅱ.特定技能所属機関に関する書類(受入企業)】
【Ⅲ.分野に関する書類(介護)】
Ⅱ.特定技能所属機関に関する書類は、法人の場合は上場企業など一定の条件を満たす場合と、それ以外で2つに別れます。一覧表で確認しましょう。
この一覧表はすべてのパターンを網羅した形で作成されていますので、不要な書類も記載されています。皆さんが申請する場合、該当するものだけを選んで準備します。
通常、準備には1か月程度かかりますが、あまりゆっくり対応していると遅れた分だけ受け入れ時期が遅くなります。あまりにも入国まで時間がかかると内定者の辞退の原因や、予定日以降の人員補充が無い状態で現場が疲弊するなど運営の負担になります。書類準備には専属の事務担当を選任するなどしてスムーズな準備を心掛けましょう。
作成が完了したら、管轄する入管へ提出します。各地域の管轄入管は下記WEBサイトにて確認ください。基本的に受け入れる企業の本社所在地から管轄が決まります。
出入国在留管理庁WEBサイト
電子申請の場合はそのままインターネットにて送付、それ以外の場合は書類を印刷の上、管轄の入管庁に直接提出(もしくは郵送)します。
空港の入管窓口など書類の受付をしない入管窓口もあるので、詳しくはWEBサイトを確認するか、心配な場合は事前に入管庁に問い合わせください。
4.入管審査の完了とビザ取得手続き
入管庁に書類提出したのち、審査には約2か月(混雑時は3か月)程度かかります。必要書類の不足や不備、追加での書類提出を求められた場合は早めに準備しましょう。遅れた分だけ審査期間が伸びてしまうことになります。
審査が完了すると、入管庁より審査完了の通知があります。認定証は、郵送やメールもしくは、入管庁で直接受け取ります。
5.ビザ取得手続き
認定証明書を受け取ったら、遅滞なく送り出し機関に送付します。送り出し機関は書類が到着次第、大使館/領事館などで外務省よりビザを取得します。また、送り出し国によって出国に追加手続きが必要な場合がありますが、基本的にはすべて送り出し機関が対応してくれます。国によって異なりますが、ビザ取得や出国手続きに約1か月程度かかります。事前にどのくらいの時間が必要か確認しておきましょう。
受け入れ準備と配属【入国前】
1.フライト予約
在留資格認定証明書が交付されたら、現地での出国手続き完了予定日に合わせてフライトの予約を行います。費用を抑えるためにはより早い時期に予約する方法、乗り継ぎがある安い航路を使うなどの方法があります。ただ、過剰な乗り継ぎは、本人たちに大きな負担となるだけでなく、場合によっては乗り継ぎできないなどのトラブルを招くことがあります。飛行機に乗って国外に出かけたことのない方が多いので、極力乗り継ぎは避け、直行便を手配するのがよいでしょう。
また、国内の国際空港にて上陸(入国)したのち、更に最寄り空港まで乗り継ぎを行う場合もあります。羽田などでの乗り継ぎがスムーズにいくように必要に応じて登録支援機関の通訳などに出迎えてもらうのがよいでしょう。特定技能外国人への義務的支援には、この出入国時の送迎が含まれており、原則として上陸する空港に出迎えを行うとされているので、注意して対応しましょう。
2.住居準備
事前にある程度候補物件の選定は行っておきますが、現地でビザ取得を進める同時期から、物件の最終確認と選定・契約を行います。ビザ取得手続き開始から約1か月程度(国によって変動あり)で入国となりますので、入国の1週間前までに物件の入居ができるよう契約手続きを進めます。
また、物件契約から入居までの間に、必要な家具家電品・生活用品などの準備、水道高熱費・インターネット回線の契約手続きを行います。特に、家具家電品はなにを準備するか、登録支援機関などの業者や送り出し機関などと事前に相談し決定しておくといいでしょう。
3.受け入れ前研修の実施
受け入れの1か月程度前に、社内従業員向けに研修を行うといいでしょう。外国人の出身国がどのような国で、気候や言語、国民性や宗教、文化など最低限のことは共有する必要があります。登録支援機関によっては無償で対応してくれる場合もあります。
■研修資料の例(ベトナム/インドネシア)


受け入れ準備と配属【入国後】
1.空港迎え
飛行機到着に合わせて空港で出迎えします。これは義務的支援の「出入国の送迎」にあたり、委託する登録支援機関が実施します。皆さんが面接した特定技能外国人が期待を胸に入国してくるので時間調整を行い、出迎えることをおすすめします。空港から住居までの移動に数時間がかかる場合は、途中で一緒に食事するなどして皆をリラックスさせるとともに、可能な範囲でコミュニケーションを図り、本人たちの不安を取り除きましょう。
2.入寮/生活オリエンテーション
住居室内外の説明や、家電品の取扱い方、居住地域の説明/案内、災害時の対応方法(避難場所の現地確認)、通勤経路の同行案内などを行います。
登録支援機関はオリエンテーションと同時に、銀行口座・転入手続きなど必要な公的手続きをやってくれます。印鑑などが口座開設に必要な場合は、事前に作成しておくといいでしょう。
3.入社/配属
日本人の入社と同じように対応すれば問題はありませんが、簡素な形であっても入社式のような場を設けることをおすすめします。
また、歓迎会も早めに実施し、日本人職員との距離感を縮めるように心がけておくことが肝心です。
※入社以降の勤務について、初期には通訳が必要になる場合があります。
ある一定の期間に通訳者の確保が可能かどうか、登録支援機関に事前に相談し、業者選定のポイントにするといいでしょう。その際の追加料金の発生可否も確認しましょう。
外国人採用に見込まれる費用
特定技能外国人の受け入れにかかわるコストは、「給料等の人件費」「受け入れ準備にかかる費用」「業者(登録支援機関)への委託費用」の大きく分けて3つです。
1.給料等の人件費
外国人が日本で働く場合、日本人と同様に労働基準法等の労働関係法令が適用されます。「同一労働同一賃金」の観点から、同じ業務を行う日本人と同等(以上)の賃金を支払う必要があります。これは外国人であるからなどの理由で不当に差をつけることはできません。また、社会保険なども同様です。
令和3年に出入国在留管理庁の調査では介護分野の給料額平均は22万3,531円でした。

出典:出入国在留管理庁「出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の現状について」
2.受け入れ準備にかかる費用
海外からの飛行機代はもちろん、住居などの生活インフラ等の準備にかかる費用です。代表的なものは下記の通り
・渡航費(飛行機代)
・送迎費
・住居契約関連費
・生活家電品/生活用品費
・インターネット回線準備費
・健康保険(任意保険)
特に住居については地域、物件、居住人数、室内準備の手厚さによって金額は異なりますが、3DKに3名で居住し、家電を一式そろえた際に約60万円ほどです。ファミリータイプの住居にて共同生活を行う場合、コスト面では多少有利なものの、冷蔵庫や洗濯機、洗濯物干し、テーブルなども大きさを考えて準備する必要があります。故障したときのリスクや、共同生活にありがちな騒音トラブルなども考慮すると、ワンルームで1名ずつの居住や、最初から家具家電付きの住居を準備するなどの方法もあります。
特に住居については地域、物件、居住人数、室内準備の手厚さによって金額は異なりますが、3DKに3名で居住し、家電を一式そろえた際に約60万円ほどです。ファミリータイプの住居にて共同生活を行う場合、コスト面では多少有利なものの、冷蔵庫や洗濯機、洗濯物干し、テーブルなども大きさを考えて準備する必要があります。故障したときのリスクや、共同生活にありがちな騒音トラブルなども考慮すると、ワンルームで1名ずつの居住や、最初から家具家電付きの住居を準備するなどの方法もあります。
3.登録支援機関への委託料
特定技能外国人を受け入れる際に提供しなければならない「義務的支援」を自社にて対応できない場合は登録支援機関に委託しなければなりません。また、人材の採用にあたり人材の紹介料(有料職業紹介)が発生します。支払う手数料は業者によって異なります。
令和3年度に国際厚生事業団が実施した調査によると、平均で
受け入れ時の費用合計 28万7,820円
受け入れ後の支援費用単価 2万7,320円/月と報告されており、5年間に換算すると約200万円程度となります。
単純にコストを抑えるなら安い業者を選ぶことになりますが、価格だけで判断すると、サービス内容に差が出る場合があります。大切なのは、金額とサービス内容のバランスですから、どこまでやってくれるのか、細かく確認することをおすすめします。
4.トータルコスト
費用を合計すると給料以外に必要な費用は1名あたり約280万円程度となります。

引用:国際厚生事業団 「令和3年度介護分野における特定技能制度の推進方策に関する調査研究」をもとに作成
※上記額に毎月の家賃負担は入っていません。全額本人負担なら問題ありませんが、企業としていくらか家賃負担を行わないと、転職などを誘発してしまう場合があります。
5.コストの考え方
トータルコストだけで見れば、日本人の採用よりも外国人の方が「高い」ことがわかります。単純な「人手不足・欠員補充」という理由だけで受け入れると、利益を圧迫するだけで事業の運営によい影響を及ぼさない場合があります。外国人を受け入れることによるメリットを最大限経営に生かしていくことが求められます。例えば、「将来的な管理職の育成や新規施設の立ち上げに合わせての育成」「介護福祉士合格による品質の改善」「日本人スタッフ含めた全体的な組織の活性化」「日本式介護サービスの輸出」などです。
外国人介護士の支援と育成
義務的支援について
特定技能外国人に提供しなければならない支援を「義務的支援」といいます。
義務的支援は10種類あり、「なに」を「どのように」、「どこまで提供するのか」が制度上決まっています。概要は下記資料の通りです。
①事前ガイダンス
④生活オリエンテーション
⑦相談・苦情への対応
⑩定期的な面談・行政機関への通報
上記の4つの支援は、特定技能外国人が余すところなく理解できる言語で支援しなければなりません。よって通訳者の同席が必須になります。また、義務的支援以外でも必要な支援は多数あります。登録支援機関に確認し、義務的支援以外でも対応してくれる業者を選定するのがベストです。

コミュニケーションと日本語教育の重要性
外国人介護士とのコミュニケーションは、教育・育成・定着に直結し介護サービスの品質にも大きく影響します。外国人介護士の受け入れで最も大切なポイントと言えるでしょう。
ただし、日本語の習得と譲歩したコミュニケーションは相反するものであり、場合によっては外国人介護士の日本語習得の障害になることがあります。状況を見ながら、その対応は個別に判断していくことが望ましいです。
1.やさしい日本語について
「やさしい日本語」とは、普段使われている言葉を、外国人にもわかるように配慮した簡単な日本語のこと。日常的な場面や身近な話題で使われる日本語を「ある程度」理解できる人が使うレベルです。書籍などを購入し、事前に社内勉強会などを実施するのがよいでしょう。
■やさしい日本語の例

注意しなければならないのは、やさしい日本語に頼りすぎるとそれ以上の日本語能力の向上につながらない場合があることです。日本語レベルに合わせてやさしい日本語の使用頻度を少なくしていくとよいでしょう。
2.日本語能力試験のレベルとは
介護の特定技能や技能実習は最低N4レベルの日本語を身に付けています。しかし、ゆっくり・わかりやすく・簡単な日本語で話した際は、概ね意味を理解できるものの、自分の考えをすべて日本語で伝えられるわけではありません。
N5~N1の日本語能力レベルをまとめると下記の様になります。

外国人とは簡単な日常会話などのコミュニケーションなら問題ありませんが、業務上のコミュニケーションの場合は正確に伝え、理解しているかを確認する必要があります。必要に応じて通訳者や、翻訳機などのツールを利用しましょう。
外国人介護士のキャリアアップルート
外国人が介護の現場で「介護士」として勤務するには、該当する在留資格が必要です。在留期間の上限無く就労/滞在ができ家族を招聘できるのは、在留資格の「介護」です。
在留資格「介護」の取得要件は、介護福祉士の資格取得となるので、特定技能や技能実習生(EPAは介護福祉士を取得するための在留資格です)が長期間日本で就労するためには、介護福祉士の実務経験ルートで試験合格することが必要です。よって、当面の目標は、介護福祉士の資格取得になります。
各在留資格の関係性をまとめると下記のようになります。
■外国人介護人材受け入れの仕組み

特定技能外国人の介護福祉士合格率は約30%程度※です。一般的に介護福祉士に合格するには、最低でもN2合格程度の日本語が必要であるといわれているため、受け入れ当初から徹底的な教育を施していく必要があると言えるでしょう。
※2024年度の特定技能外国人の介護福祉士合格率は33.3%
出典:厚生労働省「第37回介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移」
適切な評価
日本語と同様ですが、社内におけるキャリアアップの目標を持たせ、計画通りの進捗か定期的に確認し、見直します。また適切な評価を実施し待遇を見直す必要があります。
受け入れ側の思いはほとんどが、「長く働いてほしい」ですが、その思いは日本側の一方的なものになっている場合が多いです。外国人にはその「みちすじ」を示して、「あなたは将来、社内の○○になってもらいたい」など明確な目標と、目標を達成するために必要なもの、達成後の待遇を具体的に示すことが大切です
まとめ
外国人であっても職業選択の自由が保障されており、転職を止めることはできません。私たちは様々な国から外国人を選んでいるような錯覚に陥っていますが、逆に外国人も働く国や会社を選んでいます。これからは待遇や環境など総合的に、「外国人にも選ばれる職場」を目指すことが求められていくでしょう。
