職員の介護技術向上研修とは?必要な研修内容や活用するメリットを解説

介護現場において、職員のスキル向上は大変重要です。特に、介護技術の向上は、利用者に対するサービスの質を高めるだけでなく、職員の負担軽減や職場環境の改善にも関係します。
介護現場では、技術の進化に伴い、従来の「経験則に頼る介護」から、「科学的根拠に基づいた介護」へとシフトしており、継続的な研修の必要性はますます高まっているといえるでしょう。
介護技術向上研修とは、介護職員が日々の業務を行ううえでのスキルや知識を高め、より質の高い介護を実践できるようにするための研修のことをいいます。介護技術を向上することは利用者の身体的・精神的負担を軽減し、安全かつ快適なケアを提供することにつながります。特に、移乗介助や食事介助、入浴介助といった基本的な介護技術は、利用者の生活の質に直結するため、適切な方法を学ぶことが不可欠です。
また、介護現場では利用者の転倒や誤嚥といった事故発生のリスクが常にあります。研修を通じてリスク管理や危険予知の知識を習得し、事故やトラブルの発生を未然に防ぐことができる力をつけることが望まれます。
さらに、認知症の利用者への対応を学び、実戦できるようにすることも重要で、BPSD(行動・心理症状)が軽減するようなケアにより、利用者が安心して過ごせる環境を提供することができます。
このように、介護技術を向上させることの目的としては、利用者の生活の質を上げたり、安全性を高めたりすることはもちろんですが、職員自身の身体的負担を軽減し、腰痛などの職業病を予防することも研修の重要な目的のひとつです。
これまでの介護は、移乗時などで職員が力任せに介助を行うケースが多く、腰痛や腱鞘炎といった職業病が問題となることがしばしばありました。しかし、現在では力任せの介助はNGとされ、代わってノーリフティングケア(抱え上げない介護)などの、介護者の負担を最小限にする技術の習得が推奨されています。
介護職員のスキルアップに必要な研修テーマ
介護職員が質の高いケアを提供し、安心して働ける環境を整えるためには、以下のように実践的で継続的な多岐にわたる研修が必要になります。
基本的な介護技術の向上研修
移動や食事、排泄、入浴など、利用者の生活に直結する支援を適切に行うためには、基本に則った正しい介護技術を習得する必要があります。例えば、移乗介助では、誤った介助方法による利用者の転倒や職員の腰痛を防ぐため、身体の使い方や安全な介助技術を身につけることができる研修が求められます。また、食事介助では、誤嚥や窒息を防ぎつつ、利用者が可能な限り自立して食事を楽しめるよう支援する必要があります。現場の職員にとっては、それらの実戦方法を学ぶことができる研修が役立つでしょう。
認知症ケア研修
認知症の利用者が安心して生活できる環境を整えるためには、職員が認知症に関する正しい知識を持ち、適切に対応できるようになることが必要です。認知症ケアの研修では、利用者の不安や混乱を軽減し、行動心理症状を最小限に抑える対応技術を習得できるようにしましょう。また、徘徊や暴言・暴力といった行動の背景にある心理状態を理解し、落ち着いて対応するスキルも求められます。さらに、介護者自身のストレス発散や、利用者との効果的なコミュニケーション方法を実践的に学ぶことが重要です。
緊急時対応研修
介護現場では、転倒や誤嚥、急な体調変化など、さまざまな緊急事態が発生します。こうした状況に適切に対応するためには、職員が日頃から緊急時の対応方法を理解し、迅速に行動できるようにしておかなければなりません。例えば、転倒事故が発生した際に適切な判断をし、迅速に必要な応急処置を行うためには、繰り返し知識を学び、訓練を実施することが必要です。また、誤嚥が発生した際の対応や、心肺停止時の心肺蘇生法やAEDの使用方法についても、日頃から演習などを通じて訓練しておくことが重要です。
介護技術研修を活用するメリット
介護技術向上研修は、職員と利用者の双方にとって多くのメリットをもたらします。かつての介護は、経験則や力に頼る介助が主流でしたが、現在では科学的根拠に基づいたケアが求められています。例えば、移乗や移動介助においては、利用者の身体機能や疾患に応じた適切な方法を選択することで、転倒リスクを軽減できる技術が確立されています。また、認知症ケアにおいても、従来は対応が困難とされていた行動心理症状に対して、認知症ケアのアプローチが研究されています。
ノーリフティングケアや福祉用具の活用は、職員の負担を最小限に抑えながら安全な介助を可能にしますが、ベテランの職員などによって古い介護技術を実施・指導しているケースが散見され、職員の身体的負担の増加や利用者の自立支援の妨げになっています。このような事業所では、新しい技術の浸透を阻み、職員間のスキルのばらつきやモチベーションの低下を招くリスクもあり、対応を望む声も多く聞かれます。
自施設に合った研修を選ぶポイント
介護技術向上研修を効果的に実施するためには、事業所のニーズに合った研修を行うことが重要です。介護現場の課題は事業所によって異なります。職員のスキルレベルや業務の特性を踏まえた研修を実施することで、課題の解決や業務に直結するスキルアップが期待できるため、どのような研修が良いのかポイントを押さえていきましょう。
事業所の課題を明確にする
まず、事業所の介護技術に関する課題を明確にし、必要な研修を選定しましょう。例えば、「移乗介助時の腰痛が多発している」「認知症対応がスタッフによってばらつきがある」など、現場にどのような課題があるのかを把握し、その課題を解決できる研修を選ぶと良いでしょう。外部の研修を活用することで、専門的な技術や最新の介護技術を学ぶ機会を得ることができます。
実践的な内容を重視する
介護の研修は、座学中心のものではなく、実技を取り入れたものを選ぶことが重要です。特に介護技術に関する研修では、講義形式で知識を学ぶだけでなかなか技術は身につきません。実際の介助動作を体験しながら学び、現場ですぐに実戦できるスキルを身につけられるようにしましょう。
学びの継続的に支援する
研修は一度で終わらせるのではなく、定期的にスキルアップを図る仕組みを整えることが大切です。介護現場のケア方法の考え方に変化が必要な場合もあります。また、身体拘束の廃止など法改正によって、何らかのケアの工夫や対応が必要となるケースもあるため、最新の情報を学び続けられる体制が不可欠です。
外部研修の活用のメリット
外部研修を活用するメリットとして、専門講師による最新技術の指導が受けられることが挙げられます。介護技術は日々進化しており、最新の知識を学ぶことで、より安全で効果的なケアが可能になります。事業所内では指導が難しい専門的な技術については、外部講師による研修を積極的に取り入れることで、より効果的に学べるようになります。
また、事業所内の研修では気づきにくい改善点を、外部講師に的確に指摘してもらうことで、より良い介護技術の習得や課題の解決につながります。外部の専門家から学ぶことで、新しい刺激を受け、職員のモチベーションの向上や学習意欲が高まると、結果として事業所の介護の質の向上や離職防止につながることが期待できます。
まとめ
介護事業所における技術研修は、職員の技術の向上やサービスの質の向上などのために不可欠です。研修の内容や方法は事業所のニーズに合ったものを選び、より質の高い介護サービスを提供できる体制を整えていきましょう。事業所ごとに適した研修を導入し、職員の成長を支援することで、利用者にとっても快適で安全な環境を提供できるようになります。今後も、最新の介護技術を学び、現場での実践力を高めることで、より良い介護を目指していきましょう。
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さらに、行政の提出書類も簡単に作成できる機能が備わっているため、現場の負担を最小限に抑えつつ、効率的に研修をすすめることが可能です。ご利用者や家族にとって安心できる環境を整えるためにも、ぜひツクイスタッフの研修サービスをご活用ください。
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