法定研修にある精神的ケアとは?介護現場で大切にしたい心の支援

精神的ケアとは、介護施設の利用者様が「その人らしく、いきいきと暮らす」ことを支えるために、心の健康にも目を向けて関わるケアのことです。介護の現場では、体のケアに加えて、気持ちの安定を支えることがとても大切になります。心が落ち着くことで、笑顔や意欲、生活のリズムも整っていくからです。
介護職の皆さんが働く現場では、限られた人員の中で日々多くの負担があります。加えて、利用者の暴言・暴力など、カスタマーハラスメントに遭遇する場面も少なくありません。こうした不確定なストレスの多い中で心のケアを意識していくことが求められています。
1.精神的ケアの目的
精神的ケアの目的は、利用者さんが自分のペースで安心して暮らせるよう支えることです。
主なポイントは次の3つです。
- 利用者様の望む生活を尊重し、「その人らしさ」を大切にすること。
- 心と体の安定を保ち、穏やかに過ごせる環境を整えること。
- 不安や孤独を抱える利用者に、寄り添う姿勢を持つこと。
介護の中での何気ない声かけや傾聴も、立派な精神的ケアになります。無理に励ましたり解決しようとせず、「話を聴く」「気づく」「共感する」ことが心を支える第一歩です。
2.精神的ケアの3つの段階
1.健康を守る段階
普段から利用者が前向きに過ごせるよう、笑顔での挨拶や、関心をもって話を聴くことが大切です。何気ない会話や人とのふれあいが、心の安定につながります。
2.不調の早期発見・対応
「最近元気がない」「食欲が落ちた」などの小さな変化に気づくことが重要です。早めに相談・報告し、孤立やうつ状態を防ぎます。
3.回復を支える段階
うつ症状や強いストレスを経験した方が、再び自分らしく生活できるようサポートします。回復期のリハビリや、社会参加への支援が中心になります。
【精神的ケアの研修に使えるチェックリスト】
利用者の心に寄り添うために、職員が意識したい項目を並べてみました。
精神的ケアを研修で行うときの資料として、またご自身の介護に対する姿勢を振り返るためにお使いください。
1.基本姿勢・コミュニケーション
- 利用者を“介護の対象”ではなく“一人の人間”として接している
- 挨拶・声かけを笑顔で行い、アイコンタクトを意識している
- 否定的な言葉(「ダメ」「無理」など)を避け、肯定的な表現に言い換えている
- 相手の話を途中で遮らず、うなずきや共感の言葉で傾聴している
- 感情的にならず、落ち着いたトーンで対応している
2.尊厳・自己決定の尊重
- 利用者の意思を確認してから行動している(例:「これからお風呂に行きましょうか?」)
- 「自分でできること」は時間がかかっても見守るようにしている
- できたことを言葉で認め、自信を持てるように支援している
- プライバシーを守るため、話す場所・声量に配慮している
- 利用者様の「好きなこと」「こだわり」「生きがい」を把握している
3.安心感・信頼関係の構築
- 日々の小さな変化(表情・声のトーン・食欲など)を意識している
- 不安を訴えたとき、すぐに否定せずまず受け止めている
- 「あなたがいてくれて安心」と思われるような態度を意識している
- 約束したことを守り、蔑ろにしない
- チームで情報共有し、利用者の心理面も報告・相談している
4.職員自身のメンタルケア
- 自分の感情(疲れ・苛立ち)を自覚し、必要に応じて休息を取っている
- 仲間同士でフォローし合い、孤立しないよう意識している
- 利用者の死や苦しみを抱え込みすぎず、上司・同僚に相談している
- アンガーマネジメントによって、怒りの感情をコントロールしている
- 「完璧でなくていい」と自分に言い聞かせ、心の余裕を持っている
5.振り返り・継続的なケア
- ケア後に「相手の表情はどうだったか」を振り返っている
- チームで利用者様の表情など表に出にくい部分も共有している
- 研修や勉強会で精神的ケアに関する知識を更新している
まとめ
精神的ケアは特別なものではなく、日常の介護の中に自然にあるものです。
「気づく」「寄り添う」「つなぐ」という3つの意識を持ちながら、利用者の小さな変化を見逃さないことが大切です。職員同士で声をかけ合い共有することも、チームとしての精神的ケアの一部です。
忙しい日々の中でも、利用者の心に寄り添う時間を意識し、安心できるケアを心がけていきましょう。
最後に
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