介護事業所のBCP(事業継続計画)策定が義務化!いつから?内容は?ポイントを徹底解説
2021年の介護報酬改定で、介護事業者にBCPの策定が義務付けられました。
介護のBCPはマニュアルのように他の事業所と似たような内容でよいものではありません。なぜなら、事業所の立地やサービスの種類により、自然災害や感染症が発生した際に想定される被害や規模が同じではないからです。特に、自然災害における被害の予測は同一市町村であっても一律ではありません。
そのため、それぞれの事業所が、介護事業者の規模やサービス種別、事業所の所在地などにより、十分に検討を重ねてBCPを策定していく必要があるのです。
自然災害や感染症により、通常の事業所運営の継続が困難になるような不測の事態がいつ起こるかは誰にもわかりません。しかし、十分な準備と対策をしていたか否かでは、その時に受ける影響に大きな差が出ます。
しっかりとポイントを押さえて、実効性のある介護事業所のBCPを策定しておくことが重要です。
BCPとは
BCPとは事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字を取った言葉で、介護や医療サービスでは業務継続計画と訳されています。事業継続とは、企業や組織がどのような状況にあっても、中断してはならない業務は継続し、優先的に再開するべき業務は中断が許される時間以内に再開することにより、その責任を果たすことです。
つまり、不測の事態が生じた場合でも、企業として生き残り、場合によっては発展することを目指す必要があります。
そのためには事前に不測の事態が生じたときにどのように行動するのかを決めておき、検証をしておく必要があります。この自然災害や感染症など緊急事態が生じた際に、事業を継続させるための計画がBCPです。
わが国は、地震大国と言われ、1995年に起きた阪神淡路大震災以降も大きな地震が繰り返し起来ているだけでなく、近い将来南海トラフ地震や首都直下型地震が起きると予測されています。
また、不測の事態を引き起こす自然災害は地震だけではありません。近年、毎年のように大きな台風や豪雨による水害や河川の氾濫、土砂災害など様々な自然災害が私たちの生活や事業の継続を脅かしています。
そのようなことから、あらゆる企業がBCPを策定し、不測の事態に備えておく必要があることは明確です。
内閣府は2018年の国土強靭化アクションプランにおいて、BCPを策定している割合を大企業で100%、中小企業で50%以上を目指すとしていました。しかし、2020年の「防災白書」によると、BCPを策定している大企業は68.4%、中小企業では40.2%といずれも目標値を下回っています。
BCPの策定が困難な理由として、「BCPの策定に必要なスキルやノウハウがない」、「BCP策定を担当する人材の確保が困難」、「BCP策定にかかる時間がない」、「BCP策定の必要性を感じない」、「自社だけBCPを策定しても、関連企業が策定していないと意味がないと感じている」などの声が聞かれます。
介護事業所でのBCP義務化はいつから?
2021年4月施行の介護報酬改定で、施設系、在宅系を問わず、すべての介護事業所にBCPの策定が義務付けられました。ただし、3年間の経過措置があるため、実際の義務化は2024年4月からになります。
BCPの策定は、BCPに関する知識やスキル、策定にかかる人材確保が必要となり、中小企業だけでなく、大企業でも策定に苦慮しています。義務化まで余裕があると、まだBCP策定への取り組みを始めていない事業所は、やり方がわからなくて期限に間に合わない、業務が忙しくて策定できなかったなどの事態に陥らないように、すぐにでもBCP策定への取り組みを始めた方が良いでしょう。
もし、期限までにBCP策定をしなかった場合はどうなるのか。現時点ではBCPを策定していなかった場合の罰則などは具体的には発表されていません。しかし、虐待防止やハラスメント防止への取り組みをしていない場合と同様に運営基準の違反として行政指導の対象となります。
実際、筆者が受けた昨年の運営指導でもBCPや訓練についての確認がなされ、BCPは策定していたものの訓練の実施には至っていなかったため、指摘事項とはならないものの、経過措置期間の終了日までに必要な措置を講じるように助言と言う形で指摘されました。
また、BCPは自然災害の発生時や感染症などにより事業所運営が危機的状況に陥った場合に備えるものです。もし、介護事業所がBCPの策定を怠り、その様な状況に直面してしまった場合、以下のようなリスクがあります。
- 災害や感染症などの危機的状況に適切に対応できない可能性
- 利用者や職員の安全や健康を確保できないリスク
- 優先するべき業務や事業の選定ができず、現場の混乱や事業継続ができなくなる恐れ
- BCP策定義務を果たしていないことによる事業所の信頼性を失う恐れ
これらは、法令遵守や契約義務に違反することになり、行政処分や損害賠償の対象となる可能性もあると考えられます。
介護事業所におけるBCPのポイント
介護事業は介護を必要とする高齢者を対象にしているサービスであり、サービス提供中は利用者の命を預かっています。そのため、サービス提供の場で感染症のまん延や自然災害の被災があると、利用者を命の危機に陥らせてしまうリスクが、一般的な事業に比べて格段に高いと言えます。よって、介護事業所のBCPは、介護サービスの特徴を踏まえて策定する必要があります。
介護サービスの特徴をまとめると、主に以下5つのポイントが挙げられます。
- 提供する介護職員と利用者が同じ場所に滞在しており、施設系のサービスでは職員の数よりも利用者の数の方が圧倒的に多い
- 提供するサービスは、福祉用具を除けば無形の人的サービスである
- 利用者は何らかの介助を必要としており、その程度は利用者一人ひとり違いがある
- 利用者の状況やニーズだけでなく、価値観や生活習慣などに応じたサービスの提供が必要
- 利用者への対応だけでなく、家族への連絡や調整などが必要となるケースが多い
感染症に関するBCP対策
感染症に関するBCPの重要性は、今般の新型コロナウイルスの流行で実感したと言う人もいれば、もう過ぎたことと感じている人もいるかもしれません。
今回の新型コロナウイルス感染症は世界的な規模で流行し、多くの人が感染しました。これをパンデミックと呼びます。
人類はこれまで何度もパンデミックに直面し、生活や経済などに大きな被害を受けてきました。私たちは、これから先も感染症のパンデミックにより、利用者へのサービス提供や介護事業の継続に大きな影響をもたらされるリスクを常に抱えているのです。
そのような事態に陥った時、感染症に関するBCPを策定し準備をしていることが、利用者や事業所を守ることになるのです。
近年発生した特に大規模なパンデミックをご紹介します。
エイズ(1981年~現在)
アフリカが発祥と言われている、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によるパンデミックで、約7500万人が感染し、3200万人が死亡しました。エイズは免疫機能を低下させるため、他の感染症やガンなどの合併症を引き起こし、死亡に至ることが多いです。
新型インフルエンザ(2009年~2010年)
新型インフルエンザウイルス(H1N1pdm09型)によるパンデミックで、約15億人以上が感染し、18万人から57万人が死亡したと言われています。
このウイルスは過去のパンデミックとは異なる遺伝子組み換えをしたウイルスで、ブタからヒトに感染するウイルスあったため、新型インフルエンザと呼ばれました。
日本では予防接種や抗ウイルス薬の開発など早期に対策が講じられたものの、約2500万人以上が感染し約1000人以上が死亡しました。
新型コロナウイルス感染症(2019年~現在)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2023年3月10日時点で、世界の感染者数の累積は6億6千万人で死者は約688万人。うち国内では約3331万人が感染し、7万人以上が死亡している、重症化や致死率の高い感染症で、飛沫により感染が広がったとされています。
新型コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)と同じコロナウイルス科の新種のウイルスにより引き起こされました。
このように、世界で発生したパンデミックは、それぞれ異なる原因や特徴を持っていますが、早期発見・隔離・治療・予防などの対策が重要となります。
また、人類が免疫を持っていない感染症は全世界に拡大するリスクがあることから、国際的な連携や情報共有も必要で、科学的な根拠に基づいた対策を実施することが求められます。
わが国では、2012年5月に新型インフルエンザ等対策特別措置法が制定されました。この法律は、新型インフルエンザなど全国的かつ急速にまん延し、かかった場合に重篤化する可能性がある感染症への対策強化を図ることで、国民の生命と健康の保護し、生活や経済に及ぼす影響が最小になることを目的としています。
新型インフルエンザ等対策特別特措法では、「事業者及び 国民は新型インフルエンザ等の予防及び感染の拡大の防止に努めるとともに新型インフルエンザ等対策に協力するよう努めなければならない」とされています。
また、「事業者は新型インフルエンザ等の蔓延により生ずる影響を考慮し、その事業の実施に関し、適切な措置を講ずるよう努めなければならない」とされています。 介護事業者には、これらを踏まえて感染症に関するBCPの策定や実施を行う必要があります。
感染症に関するBCPには、感染症の発生や拡大によりそれぞれの事業活動が困難になった場合においても、必要な業務を継続し、中断を余儀なくされた業務やサービス提供、事業活動の速やかな再開を可能とするために必要な事項を定めておきます。
感染症に関するBCP策定のポイント
- 利用者や従業員等の感染予防や健康管理を徹底する利用者は高齢者であり、感染症による重症化リスクが高く、施設内等でクラスターが発生した場合、深刻な被害を生じる恐れがある。そのため、関係者の感染予防策や健康管理を徹底する必要があり、その方法を確立しておく。
- 必要なサービスの継続
利用者の健康状態や身体、生命を守るために必要なサービスを継続する。また、感染症の発生や拡大の程度や影響を踏まえて、事業活動の優先順位を明確にし、中断したサービスや事業は復旧・再開方法を検討しておく。 - 関係者への情報提供や連絡体制を整備する
感染症発生に対応する体制を整備し、BCPのメンテナンスや周知、緊急事態に備えた平常時からの事前準備を組織として実施できるようにしておく。 - 防護具や消毒薬等備蓄品の確保、感染症発生時の人員計画
感染症の発生や拡大に伴うリスクを評価し、事業活動に必要な人員や物資・設備などの確保方法を検討する。 - 研修、訓練の実施計画
感染症のBCPの内容を周知、共有、BCPの内容に関連した研修の実施や訓練(シミュレーション)を行う。 - BCPの内容を定期的に見直し、必要に応じて改善する
厚労省等から発出される最新の動向や、訓練を通じて洗い出された課題、対応方法の変更などをBCPに反映し、実効性のあるBCPになるように定期的に見直しを行う。
自然災害に関するBCP対策
近年、全国各地で豪雨や台風による風水害、大地震など自然災害の発生による大きな被害が報告されています。自然災害による被害は、いつどこで起こるか予測が立たず、事前にしっかりと備えておくことが重要です。
介護事業者を襲った事例として、対照的なふたつの事例があります。ひとつ目は、2020年7月に熊本県球磨村の特別養護老人ホームが豪雨による河川の氾濫で浸水し、14名が犠牲になった災害です。
ふたつ目の事例は、2019年10月に発生した大型の台風19号により埼玉県で越辺川が決壊し、特別養護老人ホームが浸水し一時孤立したにも関わらず、入居者120名が敷地内の別棟に垂直避難することで、全員が無事であったケースです。
どちらも、特別養護老人ホームの近隣の川が氾濫し、施設が浸水するという災害ですが、人的被害については明暗が分かれた自然災害の事例です。
ケース1
ひとつ目のケースでは、降り続く豪雨のため、村は災害が発生した前日の7月3日午後5時に避難準備・高齢者等避難開始を発表。この特別養護老人ホームのある地域では、球磨川の氾濫危険水位を超えたため、7月4日午前3時半には避難指示が出されました。
しかし上長からの避難指示はなく、最終的には現場の職員が入居者を避難させる判断を行い、建物の2階へ避難させる垂直避難を実施したが、避難途中で施設の1階部分が浸水し、全員を避難させることができなかったということです。
また、施設の避難確保計画では、村が避難準備・高齢者等避難開始を発表すると、配慮が必要な人たちの避難誘導を始め、避難勧告・指示や大雨特別警報が発出された際には、全職員で避難誘導にあたるとされていました。
しかし、この日実際に避難指示が出されたとき、施設に駆けつけた職員はひとりもいなかったということです。
ケース2
一方で、ふたつ目のケースでは、夜勤の職員を5人から24人に増やし、施設の正面玄関にある10段の階段が5段目まで水に浸かれば避難を準備する決まりでした。
実際には水が8段目に達しましたが、雨が上がったことから避難は不要と判断していたところ、その後水かさが増え、それに気付いた職員がすぐに避難を決断。3時間かけて全員を避難させた結果、けが人もいなかったということです。
この二つの特別養護老人ホームの明暗を分けた要因は、災害への備えと対応、施設の立地と構造が異なった点です。
ひとつ目の事例の施設は、決壊した川から100mしか離れておらず、決壊後すぐに浸水しました。そのため、すべての入居者を高階層に避難させることができませんでした。
ふたつ目の事例の施設は、平屋建てと3階建ての2つの棟からなる施設でした。浸水想定区域にあることから以前も浸水した経緯があり、水害に備えた独自の災害マニュアルを策定し、毎年訓練を実施していたこと、夜勤人数を増やし避難に備えていたことが功を奏したといえます。
ひとつ目の施設が、川が決壊してからでは避難が間に合わないリスクや、避難所まで入居者や職員全員が避難するために何人の職員でどのくらいの時間がかかるのかを把握し、早期に行動を起こしていれば結果は大きく変わったはずです。
つまり、平時から災害に備えた対応を十分に検討し、訓練の実施で検証、職員に定着させることが、利用者や職員の生命を守るうえで重要なのです。
これは施設系のサービスだけでなく、すべての介護サービスに言えることです。 防災の観点から、自分の事業所の所在する地域に浸水や土砂災害など、どのような災害リスクがあるのかを把握し、利用者や職員を守るための対策を立てること。そして、サービス提供を継続するために必要な対策、サービスの休止や休業から早期に復旧し業務や事業に及ぼす影響を最小限にするための方法を書き記したものが、自然災害のBCPとなります。
自然災害BCPのポイント
- 施設、事業所の災害対策に関する考え方を職員全員に周知する。
- 自然災害発生時に、指示が出なくても従業員各自がどのように行動するべきか、基本の考え方や事業所のBCPについて周知しておく。
- 平時から災害対策の推進を実施する。
- ハザードマップなどで事業所所在地のリスクの把握、大きな被害が予想される災害について自治体が公表している被害想定などを参考にし、事業所への影響や対策を整理しておく。
- 被災時に優先する事業や業務を決めておく。
- 複数の事業を実施している法人は、自然災害発生時に優先する事業を決めておく。また、各事業での優先するべき業務内容も決めておく。
- 定期的にBCPの見直しをする。
研修や訓練(シミュレーション)を通じて、BCPの検証を行い課題の抽出やBCPの評価、修正を繰り返すことで、実効性のあるBCPになるよう見直しを行う。
施設形態やサービス別の感染症・自然災害のポイントは下記で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
- 通所系サービスのBCP策定に関するポイントを徹底解説!
- 入所系サービスのBCP策定に関するポイントを徹底解説!
- 居宅介護支援事業所のBCP策定に関するポイントを徹底解説!
- 訪問介護サービスのBCP策定に関するポイントを徹底解説!
BCP策定のメリット
実効性のあるBCPの策定は容易なことではありませんが、BCPを策定することで事業所にはさまざまなメリットがあります。
メリット①補助金・助成金を受給できる
補助金や助成金を活用することで、コストを抑えながら事業所の防災・減災にかかる事前対策を充実させることができます。
・BCP実践促進助成金(東京都中小企業振興公社)
中小企業等が策定したBCPを実践するために必要となる基本的な物品や設備等の導入にかかる費用の一部が助成されます。
詳しくはこちら>>公益財団法人 東京都中小企業振興公社「BCP実践促進助成金 申請案内」
メリット②税制優遇を受けることができる
事業継続力強化計画を策定し経済産業大臣の認定を受けると、税制措置や金融支援、ものづくり補助金等の加点、損害保険会社の支援などの優遇措置が受けられます。
詳しくはこちら>>中小企業庁「事業継続力強化計画」
メリット③ワクチンの優先接種を受けることができる
新型インフルエンザ等対策特別措置法第28条第1項において、 事前に国に登録申請をした医療分野、国民生活・国民経済安定分野の事業者の従業員が、国民に先行してワクチンを接種できる特定接種の対象となるとしています。
登録事業者となる条件は、新型インフルエンザ等が発生した場合に備えて、診療継続計画(業務継続計画)を作成し、発生時には継続的に医療等の提供や国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務を行っていく体制を整えている場合と規定されています。
メリット④利用者、従業員を守ることができる
日ごろから災害の発生を想定し研修や訓練を実施し意識していることで、万が一の事態が生じた時でも、一人ひとりの従業員がスピード感をもって、利用者や従業員自身の安全を守る行動をすることが可能になります。
メリット⑤事業を守ることができる
災害時に長期間にわたり業務を中断することは、事業の継続を困難にするリスクがあります。また、中断中に利用者が他の事業所に流出すれば、再開できたとしても収益に影響をきたすことになります。
メリット⑥事業所の信頼性が高まる
災害が発生した時に事業を中断することは、利用者だけでなく他の事業所やケアマネジャー、保険者にも影響をもたらします。BCPを策定し日ごろから災害発生への備えや事業の安定性への取り組みをしていることで、リスクマネジメントの評価が高まり信頼性が高まることになります。
介護事業所のBCP策定に関してよくある質問
複数の事業を展開している法人のBCPはどのように考えればいいですか
法人のBCPを最初に策定し、各事業所のBCPを策定するようにします。
不測の事態が起きた時には、業務を継続するだけでなく、事業収入を確保し雇用を守ることも重要です。そのため、法人や事業所の規模によっては、災害発生時に優先する事業とサポートに回る事業に分けて必要な員数の職員を確保します。
法人本部と各事業所の方向性や内容を整合し、あらかじめ全従業員に周知しておきましょう。
感染症マニュアルがあります。これをBCPとすることはできますか
感染症マニュアルをBCPとすることはできません。別途BCPが必要です。
感染症マニュアルは、感染症の発生を予防するための対策や感染症が発生した際に広げないための対策や行動が書かれています。
一方で、BCPは平時と同じ事業の継続が困難になるような感染症が発生した際の考え方、必要な業務を継続し、中断する業務があっても早期に復旧するための事前準備や対応方法などを具体的に記したものです。
したがって、感染症への対策はBCPと感染症マニュアルの両方が必要になります。
自然災害の被害想定は、すべての災害に対して行う必要がありますか
BCPにはすべての自然災害に対して記載する必要はありません。
市町村のハザードマップや国土地理院のハザードマップポータルサイトなどで、事業所の所在地などでどのような災害が起こりうるのかを調べ、リスクの高い災害に対して被害想定や対策を検討しておきます。
感染症と自然災害のBCPは別々に作る必要がありますか
感染症と自然災害のBCPは、組織体制など重複する部分が多いようであれば一つにまとめても問題ありません。
介護事業以外の一般企業では一つにまとめているところも多いです。ただし介護サービスでは、自然災害の被害の範囲や中断すると考えられる業務は、感染症のそれとは違いがありますので、わかりやすく整理しておいてください。
自然災害時の資金などはどう考えればよいですか
自然災害で設備などの被害が生じたときに備えて、補修のための資金調達先を確保しておかなければなりません。
建物や設備が受けた被害の復旧にどの程度のお金がかけられるのか、加入している保険の保証範囲などを確認しておきましょう。
BCPの推進体制者を災害対策委員にしようと考えていますが、毎年メンバーが変わります。BCPには氏名ではなく役割の記載でも良いですか
担当者の氏名を記載しておくことを推奨します。
従業員の入れ替わりや役割の変更などが煩雑にある場合、都度BCPを変更するのは大変かもしれません。
しかし、役割の記載では当事者が我が事と自覚を持っておらず、初動が遅れるリスクや、現場が誰に指示を受ければよいのか混乱する恐れがあります。変更があった時にはBCPの修正を行い、担当者の氏名を記載しておきましょう。
まとめ
2024年から介護事業者に義務付けられるBCPの策定に関するポイントや内容ついてご紹介しました。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、全国の介護事業者に様々な影響をもたらせました。また、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震などの大地震が全国各地で発生する予測がされていますし、近年毎年のように豪雨による水害や土砂災害が発生し、いつ自事業所が被災してもおかしくはありません。
BCPは作って終わりではありません。感染症や自然災害の発生時に利用者や従業員の安全を守り、事業を継続するために実効性のあるBCPにするためには、従業員への周知と繰り返しBCPの改善を行うことが重要です。
まずは、初版を策定することから始め、それぞれの事業所に最適なBCPの策定を目指していきましょう。
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